相続登記の義務化のポイントを司法書士が解説!
相続登記義務化の目的
所有者不明土地の問題を解決することが目的です。
所有者不明土地とは?
所有者不明土地とは、登記簿謄本等で所有者が直ちに判明しない、あるいは判明しても連絡がつかない状態の土地のことです。
相続登記の義務化の背景
相続発生時に登記をしなかったことで所有者不明・連絡のつかない土地が増加しました・
現在ではこのような土地が日本全体410万ha以上あり九州全土の広さを超える土地が活用できない状態になっています。
このままでは土地の売買や公共用地としての買い取りなどができなくなってしまうため相続登記が義務化付けられることになりました。
もしご自身の土地が未登記のままだと・・・
・直ちに売却することができない
・土地上に建物を建築する際に支障が生じる
・不法投棄の原因にもなっている
・土地の有効活用の妨げ&経済的な損失の発生
具体的な問題点
・所有者の探索に多大な時間と費用が必要
(戸籍・住民票の収集、現地訪問等の負担が大きい)
・所有者の所在等が不明な場合には、土地が管理されず
・放置されることが多い
・共有者が多数の場合や一部所在不明の場合、土地の管理・利用のために必要な合意形成が困難
義務化で変化すること
・相続登記の義務化・罰則の制定
・所有者の氏名住所に変更があった場合の変更登記の義務化・罰則の制定
・法務局による所有者情報取得の仕組みの制定
・土地の所有権放棄の制度化
今まで罰則はなかったが、制定後は罰則を伴う可能性が高いです。
義務化はいつから始まる?
2021年4月に民法及び不動産登記法が改正されました。
実際に開始されるのは3年が目安とされているので2024年にスタートする見込みです。
ただし義務化前に相続した不動産も対象なので注意が必要です。
放置している場合はスタート前に手続きをしないと罰則の対象になるため早めに司法書士に相談されることをおすすめします。
相続登記の義務化と併せて知っておきたい法改正
相続人申告登記(仮称)制度の創設
相続発生後、すぐに相続登記を行えない場合に、相続人であることを申出することで相続登記を行う義務を免れる制度
あくまで「登記簿上の所有者」が亡くなったことを示しているに過ぎないので注意が必要です。
その後、遺産分割協議が成立し不動産の所有権の移転が決定した場合には、遺産分割の成立した日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
登記手続きが簡略化
遺贈による所有権移転の登記、遺産分割・相続放棄による所有権更正登記の申請が簡略化されます。
現在は申請の際に、他の相続人等との共同申請が必要になっていますが改正により、登記権利者が単独で申請することができるようになります。
過料の設定
不動産所有者の氏名、名称、住所等に変更があったときは、その変更から2年以内に変更の登記申請することが必要となります。
・登記しない場合、5万円以下の過料の対象
・相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記をしないとならない
・登記しない場合、10万円以下の過料の対象
登記官が職権により登記可能に
登記官が住民基本台帳ネットワーク(会社等の法人情報を管理する登記のシステム)から不動産所有者の氏名、住所の変更の情報を把握したとき、職権によりその氏名、住所の変更登記ができるようになります。
過料以外にも登記をしない土地にはリスクが沢山
・所有者の探索に多大な時間と費用が必要
・時間が経つ程に困難に相続が複数回重なるとほぼ不可能なことも
・相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続登記をしないと10万円以下の過料の対象となる(過去の相続分も)
・住所変更登記も義務化され、2年以内に手続きをしなければ5万円以下の過料対象になる
・相続人申告登記や登記権利者のみの単独申請を認めるなど登記手続きの簡略化が予定されている
相続登記は早めに行わないとどんどん大変になってしまうので早めに司法書士に相談することをおすすめします。